ここ自然の楽園、屋久島二日目は憧れのもののけの森『白谷雲水峡』に足をのばす。生憎この日は朝から雨模様。我等晴れ女にしては始めての経験。少しブルーな気分を押し殺しつつ。エコガイドの真鍋さんといざ出陣。人気の観光スポットだけにやはり人出は多そう…もののけの森までは片道3時間。ゆるやかな登りを花崗岩の上を進んで行く。本来なら周囲の景色をゆっくり眺めながらといったところだが雨のため足場が気になりそれどころではない。時折無線から川の状態の連絡が入る。ガイドによっては引き返すグループもあり、我々もドキドキしていたが、真鍋さんは気にする素振りも無くずんずん進んで行く。休憩らしい休憩はない。ただシャッターを押す時の一瞬だけ足を止めることが出来る。ただこの時の判断の甘さによりデジカメも携帯も壊れてしまうことになり激しく後悔した。これからもっと素晴らしいビューポイントが出現するとはこの時点では舞い上がって理解出来なかった。コダマが写った!といって大はしゃぎ♪(それらしく見えるから不思議!)
       
川がある!と言っては大騒ぎそうこうしていると空が明るくなって来た。やはり晴れ女の威力は証明されたのだ。木々達は程よく水分を与えられしっとりと艶やかに体を輝かせ濃密な酸素で我々を包み込む。深呼吸すると体全体が緑色に染まりそうな、細胞の一つ一つが蘇生していく錯覚を覚える。屋久杉の表面に着生する苔の上にいくつもの水滴がキラキラと輝いている。陽光を受けプリズムのように赤や青、オレンジ色に光を変化させている。自然の宝石が360度見渡す限りの緑の木々の上に散らばっている。余りの美しさに感動し涙が溢れてくる。自然って凄い!生命って素晴らしい!生きていて良かった!と心からそう思った。そうしてゆるやかな登りを3時間も歩くとお目当てのもののけの森に到達した。あたりは薄暗く荘厳な雰囲気が漂う。シシガミがすっと出現してもおかしくないくらい幻想的。あぁカメラが壊れていなければ…。肝心な所は心のネガに焼き付けるしかない。まぁそれも原始的でいいか。3時間も歩いたのに疲れは全くない。マイナスイオンのせいか?景観のせいか?明日になれば分からないけれど…。森の中での昼食はどんな高級料理よりも美味しく感じる。谷川で汲んだ軟水で入れたコーヒーも真鍋さんの自宅で採れたパッションフルーツも絶品!本当の贅沢ってこういう事なのかもしれない。ここにこうして元気で来られたことに感謝、雨とお天気の両方の森の顔を見られたことに感謝。壮大な自然を前にすると人間は知らず知らず謙虚な気持ちになるのかもしれない…。