アレー!!

壮絶…この言葉が相応しい試合だった。今期で引退を表明している36歳大ベテランのアンドレ・アガシキプロスの新鋭21歳のマルコス・バグダティス。1SET2SETは完全にアガシのペースで試合は進みこのままサクッと3−0で決まりかと思われた。しかしそこは全豪のファイナリストで第8シード。激しい猛追が始まった!ナイトセッションで日付も変わる遅い時間帯にも拘らず観衆は2万人!しかし99.…%はアガシの応援。21歳にしては過酷な状況のなかたった一人で闘わないといけない。彼がミスをする度歓声があがり、エースをとると激しいブーイング。見ていて決して気持ちのいいものではない。ファインプレーには例え敵であったとしても賛辞を贈り称えてほしかった。3,4SETはバグダティスが一方的に押さえ込んだ。途中何度も左足の治療でトレーナーを呼んでいたがいざプレーが始まるとそんな素振りを見せずにプレーを行うバグダティスに観衆はいらだっていた。ドラマはファイナルセットに待っていた。打っても打っても打ち返すバグダティス。アガシサービスゲームをブレイクした瞬間彼は自らのファミリーボックスに向かって「アレー!アレー!」と心臓を叩き気合を入れていた。そのとき一番のブーイングが…。21歳のまだ青年に対してあまりにも酷い。私は胸が締め付けられて涙が溢れてきた。なんという精神力!なんという勝負強さ!そして左足を庇い続けた彼は遂に右足までも痙攣を起こしその場に倒れてしまった。立ち上がるが上手く歩けない。もたもたする彼にまたしても観衆の野次が突き刺さる。私はいつの間にか真剣にアガシより彼を応援していた。棄権という二文字は彼には無かったのだろうけど本当に見ていて痛々しい。サーブも手のみで打つためボールが右に切れていく。それでも彼は諦めない。最後まで見事にプレーを続けた。結果はアガシに軍配が上がったけれど最後まで諦めずに辛い状況の中でも笑顔を絶やさず前向きに頑張るバグダティス。新しい光を目の当たりにしてアガシも心置きなく引退できるだろう。辛いときこそ笑顔だよねバグダティス!そしてアガシには一日でも一時間でも出来る限り長く残ってほしい!二人ともお疲れ様でした。このVTRはお宝にします!